2013年3月8日金曜日

ソフィアたん

ソフィアコッポラの映画って、ちょーつまんねー。
Virgin Suicideもマリーアントワネットも、今日見たSomewhereも。
どうしようもないくらい、当たり前の事を、おしゃれに見せて
ごまかしてる気がするんだが!

Lost in Translationは良かったんだけどね。

2013年3月6日水曜日

8月にこころの折れていたわたす

先週末、時間的にも精神的にも余裕があったので
半年前に購入して、読むのを忘れていた本を読んでみた。

  
この本を買おうと思った時、自分のこころが折れそうになっていた
というのもあるし、昔から精神的に追いつめられること・ひとに
関心があった。

アマゾンのレビューを読むと、精神的に追いつめられた時の
対処法を述べるのではなく、追いつめられた人に取材をして
こころが折れそうな時、人はどう対処するのかを綴った本であると。

啓発本やハウツー本より、ルポ、ドキュメンタリーの方が好きなので
取材をベースに書いているこの本は面白いのではないかと思って
手にとってみた。結果、自分が予想していた読後感とは全く違う
満足感があった。購入したのが大分前なので、どういう気持ちで買ったのか
あまり覚えていないけど、題名とアマゾンのレビューから想像した内容とは
かなり違っていた。

確かに、こころが折れそうな時、一般的に人はどう対処するのかが
書かれているところもあるけど、この本はどちらかというと作者の哲学書に
近いものだと思った。彼自身がずっと人生、世界に生きにくさを抱えていて
それは、自分の理想(哲学・世界観)と現実(自分の哲学と世界観を
受け入れないこの世の中)の乖離が、彼のこころを折っているものだと。
この、こころが折られることに対してどう対処していくか、折り合いを
つけていくか、著者は著者と同じように私達一般市民から見ると崇高な
思想・理想を持つ哲学者や文学者から介護疲れや仕事でこころが折れそうに
なっている普通の人々へ取材を続けて、この本を書いている。

本の前半は、取材対象が彼の好きな人に偏っていて、また私が予想していた
内容と違っていたこともあって、途中で読むのをやめようと思ったけど
(特に私の苦手な村上春樹に関する記述のとこでちょっと嫌になった)
もう半分以上読んでいたので、しかも喫茶店に入ってしまったのでそのまま
読み続けることにした。
結果として、この本の中に体系立てた何かがあるとか、何か真理に気付いた
ということはなかったけど、小さな発見はたくさんあったので、読了して
よかったと思った。

小さな発見① 宇宙の作り方
著者は自分の世界観(著者はこれを世界像と読んでいた)と乖離した
現実の世界で生きていくために、小さな宇宙の作り方を考える。
これは、著者が中学生のころに「なぜ自分は存在するのか」という問いを
突き詰めて行ったら、「宇宙があるから」というところに行き着いたので
宇宙を表現したい、という欲求からも来ているのだと思うけど。
この宇宙の作り方が秀逸。5位から順に発表していくんだけど、
これは中々おもしろい発想だなーと思う方法があって、読んでいて楽しくなった。
ただ著者も言っているように、宇宙の表現の仕方を夜更けに考えるのは
孤独だし自己満足的な作業だ。

小さな発見② 人間の強固な性癖
本の中に、池澤夏樹という小説家へのインタビューがあった。
この小説家も著者と同じく彼なりの世界像があって、その世界像と全く違う
方向に進んでいく今の世界に、どう折り合いをつけているのか著者が
インタビューをしている。そのインタビュー中で、池澤夏樹が、我々人間には
抜き去りがたい強固な性癖があると言っている。それは混沌とした事象の中に
何かストーリー性を見いだしたい、無意味なパターンの中に何か脈絡を見つけたい
という強烈な本能的な欲求だと。著者と池澤さんが持っていた、戦後の理想的な
世界像。でもこの世界に確立的な世界像なんてものはなくて、
世界はあまりにも広く混沌としている。でも人間は無意味、混沌に意味や理由、
物語を見いだしたい。これは人間の本能的欲求なのだと。
あくまで個人の考えだけど、散々理想の世界像にこだわってきた人が
ひとつの解決策として、「世界は混沌、意味は無い。でも意味を
見いだしたくなるのは人間の本能的欲求です。
だから私達は世界像とか持っちゃうんです。」と言うのは
私の中で何かひとつ答えが出た気がして、読んだ後、一番すっきりした。

小さな発見③ ジェネレーション
仕事で企画書を書く時、ポイントは3つあげろ、2つでも4つでもなく
3つだ、とか、言いたい事は3つにまとめて伝えろとか言われているので
小さな発見①、②が私的にこの本のハイライトだったけど、もうひとつ
加えるとしたら、その人が生きてきた時代がその人の考えの形成に
結構影響を与えるんだなと思ったこと。
著者は63才。戦後生まれ、学生運動経験、バブル崩壊を経て今に至る彼らと、
バブル崩壊後に生まれた私。
もちろんその間にも色んな世代がいる。世代の違う人というのは
仕事でしか出会う機会がないので、「いい人だな」「優しいな」
「すぐイライラする人だな」「気さくな人だな」くらいにしか思わないけど、
よーく話したり関わったりすると、実は年代によって考えに結構差が
あるんではないかと思った。実際にそれぞれの年代の人から、その年代に
共通する思想を感じ取ることがあるので、これは今後もっといろんな年代の人と
つき合って、掘り下げていきたいテーマだと思った。

アマゾンの注文履歴を見ると、この本を購入したのは去年の8月。
しかも一緒に買ってるのが、 西村賢太の「苦役列車」。
どんだけこころ折れそうになってたんだ、8月のわたし!